今回は家づくりでよくある「やってしまいがちだけど、後悔しやすい収納」について、プロの視点からズバッと切り込みます。
収納は「とりあえずたくさんあればOK」ではありません! むしろ、使いづらい収納は死蔵品の温床になり、動線の邪魔にもなる、建築コストもかさむ…と良いコトなし。
私が考える収納設計のコツは、
- 「大きい収納ひとつより、小さい収納を多く配置」
- 「とりあえず設けるのではなく、使用用途を明確化」
- 「ムダな収納スペースは作らずに断捨離のクセを付ける=建坪削減(=建築費用削減)」
それでは早速、やりがちなNG収納を5つ紹介していきます!
NG①「とりあえず空間が余ってたから収納にしました」

スペースが空いてるから、とりあえず収納にしときますか…? → これ、やりがちですが完全にNG!
収納は「何を入れるか」から考えなければ、結局使いにくくて放置されるだけです。
- 可動棚をつけたけど、入れるものがなくてテキトーな物置に
- ハンガーパイプをつけたけど、場所的に服をかける必要がない
こういう無目的な収納は、結局“空間のムダ遣い”です。
収納をつくるときは、まず「使うモノ・頻度・動線」を具体的にすることが重要です!
NG②「奥行きがありすぎて死蔵スペースになる」

収納は“広ければ広いほどいい”と思っていませんか? でも実際は、奥行きがありすぎると奥のモノが取り出せず、永遠に眠ることになります。
とくに注意したいのが、クローゼットやリビング収納。
- 棚の奥行きが60cm以上あると、奥が見えない&届かない
- 手前のモノしか使わない
- 収納ケースを重ねすぎて下段が“開かずの箱”に
奥行きは30~60cm程度がベスト。使いやすさを第一に計画しましょう!
NG③「土間収納・WIC・FCLをとにかく巨大にした」

人気の土間収納、ウォークインクローゼット(WIC)、ファミリークローゼット(FCL)。 でも、ただ広いだけで中身がスカスカ、通路がムダに広い…なんてケースも多いです!
- 家族分まとめて入れたい→でも実際は一部しか使ってない
- コの字型のWIC→角のスペースが使いにくくてムダに
- 通路が広すぎて“歩く収納”になってしまう
まず「何を入れるか」「誰がどう使うか」を決めてからサイズ設計を。通路は最小限に抑えてOKです!
NG④「毎日使う収納なのに、動線&混雑の考慮なし」

忙しい朝、家族で洗面所が混み合う… 学校グッズがあちこち散らかる…
こういうプチストレス、収納の位置や動線でだいぶ軽減できます。
- 洗面所のタオル収納が手の届かない場所に
- 子どものランドセル置き場が玄関から遠い
- 朝の準備動線に収納が干渉して大渋滞
「どこで・誰が・いつ使うか」を意識して、暮らしのリズムにフィットした収納計画をしてみましょう。
NG⑤「見せる収納が映えない・片付かない」

オープンシェルフ、飾り棚、パントリーの“見せる収納”。 インスタでは素敵に見えても、実生活ではハードル高めです。
- 生活感のあるモノを隠せない
- ホコリが溜まりやすい
- 見た目がごちゃついてストレスに
見せる収納は“見せてもいいモノだけ”に限定。基本は隠す収納と組み合わせて、映えと実用のバランスをとりましょう!
まとめ:収納は「映え」より「使いやすさ」優先で

おしゃれな収納や大容量収納も魅力ですが、
- 使いやすさ
- メンテのしやすさ
- 家事動線とのバランス
これらを優先して収納を設計すれば、「後悔しない家づくり」に近づきます。
収納=余った空間に詰め込むのではなく、暮らしを整える“戦略”として設計することが大切です。
収納の設計ひとつで、家事も暮らしも快適になりますよ!
筆者:ともぴ(一級建築士/インテリアコーディネーター)
「家づくりは、賢く・楽しく・ちょっとあざとく」をモットーに、失敗しない家づくりのヒントをブログで発信中。