【NG集】クロス選びでやってはいけない7つのこと

まめ知識

壁紙(クロス)って、思っていたよりずっと難しい…。
そう感じたことはありませんか?

家づくりの中で「クロス選び」は、見落とされがちだけど後悔の多いポイント。
特に「全部お任せでいいか…」と油断してしまうと、完成後に「なんか違う…」という事態にもなりかねません。

この記事では、一級建築士である筆者が、現場で見てきた「やってはいけないクロス選びの7つの失敗例」をご紹介。
後悔しないクロス選びのためのヒントをお伝えします。

クロス選びでやってはいけない7つのこと

一部屋で使う色は2色まで!

「この壁はこの色で、あっちは別の色にして、ここは柄入りのクロスで…」

ちょっと待ってください!それ、実はプロの上級テクニックなんです。計算し尽くされた配色ならうまくいきますが、感覚だけでやってしまうと、ちぐはぐな印象になってしまうことも。

クロスの色は、基本的に1部屋に2色までがおすすめです。

というのも、お部屋の中にはクロスだけでなく、床やドア、カーテン、家具など、いろんな色がすでに存在しているから。あまりたくさんの色を使いすぎると、ごちゃごちゃした印象になってしまいます。

まずは「ベースになる色」を決めて、次に「アクセントになる色」を1つ決めましょう。そしてそのアクセントカラーを、クロスで取り入れるのか、家具で取り入れるのか…部屋全体のバランスを考えながら選ぶのがポイントです。

木目調クロスは折り返して張らない!

木目調のクロスを、アクセントとしてお部屋の一面に取り入れるのは、とても良いアイデアです。もちろん、それ自体には何の問題もありません。

でも、ちょっと気をつけてほしいのが、「一面だけ」でとどめておくこと。

というのも、木目クロスを部屋の角をまたいで二面以上に貼ってしまうと…どうにも「不自然な見た目」になってしまうんです。

想像してみてください。本物の木の板を壁に貼るとしたら、角のところで一旦区切りが入りますよね?でも、クロスだとその区切りがなく、木目が角を越えてそのまま続いてしまうことに。

これではせっかくリアルな質感のクロスを選んでも、「はい、私は偽物ですよ〜」とアピールしているようなものです。もったいないですよね。

どうしても二面以上に貼りたい場合は、角に「見切り材」を使うのがおすすめです。そうすれば、仕上がりも自然で、ぐっと完成度が上がりますよ。

狭い部屋の奥の壁に暖色系クロスはダメ!

色には、「進出色」と「後退色」と呼ばれる性質があります。

進出色は、実際よりも近くにあるように見える色のことで、たとえば赤やオレンジなど、明るくて暖かみのある色がこれにあたります。
一方で後退色は、逆に遠くにあるように見える色。青やグレーなど、落ち着いた寒色系の色が代表的です。

こういった色の特徴、広い部屋ではそこまで気にしなくても大丈夫なのですが、狭い空間では注意が必要です。
たとえば、奥の壁に赤やオレンジのクロスを使ってしまうと、壁がグッと近づいて見えて、部屋がさらに狭く感じてしまうことも…。

色の持つ印象って、思っている以上に空間づくりに影響するんです。
「へぇ、そんな効果もあるのか」と思った方は、ぜひ関連記事もチェックしてみてくださいね!

真っ白クロスに要注意!

「とにかく部屋を明るくしたいから、クロスは真っ白で!」

その気持ち、よくわかります。もちろん、それ自体が間違いというわけではありません。

でも、実は本当に“真っ白”なクロスって、かなりのまぶしさなんです。大げさに聞こえるかもしれませんが、光の加減によっては目がチカチカしてしまうことも。

そこでおすすめなのが、ほんのり色が入ったクロス。
たとえばサンプル帳で見るとベージュや薄いグレーに見えるものでも、実際に壁に貼ると「ほとんど白」に見えることが多いんです。

床がナチュラル系の木目なら、ベージュ寄りの白。クールな印象の空間なら、ほんのりグレーが入った白…というふうに、部屋の雰囲気に合わせて選べば、失敗しにくくなりますよ。

ちなみに、「この部屋はあまり日が入らないから、あえて真っ白にして明るさをプラスしたい」というような理由での選択は、むしろとてもいいアイデアです!

サンプルブックだけで決めない!

先ほどの「真っ白クロス」のお話と少し似ていますが…
色って、面積が変わると見え方も変わるってご存知ですか?

一般的に、明るい色は面積が大きくなるほど、より明るく・鮮やかに感じられるようになります。
これを「面積効果」と言います。

つまり、小さなサンプル帳で見たときの色味と、実際に壁一面に貼ったときの印象が大きく変わることがあるんです。

特にありがちなのが、「思ってたより明るくなっちゃった!」というパターン。これは業界でも“あるある”の失敗例で、サンプルブックの小さなクロスだけで選ぶと起こりやすいんです。

できれば、A4サイズなどの大きめサンプルを取り寄せたり、メーカーのカタログや施工例写真を参考にしながら決めるのがおすすめです。

最近は壁紙メーカーのホームページでも、施工事例写真を簡単に検索できるので、ぜひ活用してみてくださいね!

派手なクロスを躊躇するべからず!

これはあくまで私の個人的な意見ですが——

思い切って派手なクロスを選んでも、意外と大丈夫なものですよ!

「この柄かわいいけど、ちょっと派手すぎるかな…?」と迷ったときほど、ぜひ“好き”という気持ちを大切にしてみてください。実際に貼ってみると、案外しっくりきたり、空間のアクセントになって気分が上がったりします。

そもそもクロスって、床や建具と違って、あとから比較的カンタンに張り替えられるアイテムです。海外では、住む人が自分でペンキを塗ったり、壁紙を貼り替えたりするのはごく普通のこと。

日本でも「失敗したら張り替えればいいや!」くらいの、ケセラセラ精神で楽しんでいいんじゃないでしょうか。

インテリアって、自分の「好き」を表現できる楽しい世界です。だからこそ、まずはワクワクする気持ちを大事にして、クロス選びを楽しんでくださいね!

薄いクロスに要注意!

これを書くかどうか、ちょっと迷ったんですが…
住宅会社さんの名誉のためにも、やっぱり触れておきます!

クロス(壁紙)には、ペラッとした薄手のものもあれば、しっかり厚みのあるタイプもあります。
どっちがダメとかではないんですが、もし選べるなら、できるだけ「厚手」のクロスをおすすめします。

というのも、薄いクロスって、どうしても下地の状態が表に出やすいんです。
石膏ボードのつなぎ目とか、ビスを打った跡とか、ほんのちょっとした凹凸が「うっすら浮いて見える」ことがあるんですよね。

「それって住宅会社の施工が甘いんじゃないの?厚手のクロスでごまかすってこと?」って思われるかもしれませんが…
いやほんと、そういうわけじゃないんです!すみませんでした!もう何も言いません!笑

でも、どれだけ丁寧に下地を作っても、完璧にツルッとはならないのが現実。
だからこそ、ちょっと厚めのクロスを選ぶと仕上がりがキレイに見えやすいんです。

あくまで“保険”として考えてもらえたら◎
クロスを選ぶときは、色柄だけじゃなくて「厚み」にもちょっとだけ注目してみてくださいね。

まとめ:クロス選びを楽しもう

クロス選びは、一見地味ですが、空間の印象を大きく左右する重要な要素
しかも、一度貼ると10年単位で使うため、後から変えるのは簡単ではありません。

本記事でご紹介した「やってはいけない7つのポイント」を踏まえて、
毎日を心地よく過ごせるクロス選びを楽しんでくださいね。

筆者:ともぴ(一級建築士/インテリアコーディネーター)
「家づくりは、賢く・楽しく・ちょっとあざとく」をモットーに、失敗しない家づくりのヒントをブログで発信中。