【裏ワザ】新築時のコスト削減のコツ|ムダなお部屋編

裏ワザ

大きな家に憧れる…もうそんな時代じゃありませんよね。

ここ数年の建築費高騰で、家はますます高い買い物になってしまいました。

見栄を張って大きな家を建てて、月々の返済にてんてこ舞い…そんな生活は精神衛生上好ましくありません。

今の時代の住宅建築は「いかに無駄を省くか」にシフトチェンジしています

無駄を省いて、できるだけコストを抑えて、自己表現や本当に必要なものにお金を掛ける…そんな消費志向の方が増えているんじゃないでしょうか。

そこで今回は「ちょっと待って、その部屋ムダじゃない?」という視点で、使い方によっては無駄に成り得る部屋を紹介していきたいと思います。

間取りを検討しているあなた、ぜひ参考にしてくださいませ。

もう家を建てちゃったあなた、見ない方が良いかもしれません。”そっ閉じ”を推奨いたします笑。

その部屋ムダじゃない?

吹抜け

開放的で心地よい吹抜け空間は、多くの人にとって魅力的ですよね。

ただし、何のために吹抜けを設けるかしっかりと検討が必要です。

語弊を恐れずに言うと、吹抜けって「ムダな空間」なのですよ。個人的には「オシャレはガマン」に似ていると思っています。ただ単に「開放感に憧れがある」とか「シーリングファンってカッコいいよね」とかの理由なら止めておくべきです。

吹抜けには、温熱環境が悪くなることや、構造耐力的にも弱点になりやすいことなど小さくないデメリットが潜んでいます。

「光が入りにくいから吹抜けを設けて採光を確保する」とか「高低差で空気の流れを生み出し、熱い空気を吹抜けの窓から逃がす」とか、明確な理由があるなら大賛成です。

設計者がどんな意図で吹き抜けを採用したのか、それは魅力ある提案なのか、ということをしっかりと確認することが大切ですね。

バルコニー

様々な用途に使用できるバルコニー。

しかし最近、少しずつですがバルコニーの無い家が増えてきました。なぜでしょうか?

それは、バルコニーの使用用途が他のもので代用できるようになってきたからということと、バルコニーの欠点であるメンテナンスに伴うランニングコストと構造的弱点が問題視されてきたから、と言えるでしょう。

バルコニーは洗濯物干し場や家庭菜園、エアコン室外機置き場としての使用が想定されると思います。

洗濯物干しは乾燥機能付き洗濯機や部屋干しなどで代用できますし、家庭菜園も別にバルコニーじゃないといけない訳ではありません。エアコン室外機は地上まで降ろしてもいいでしょうし、壁から持ち出しのラックなんかもあります。

そして、何よりバルコニーは防水上の弱点になりやすい部分です。

一般的なバルコニーに施されているFRP防水は、約5年毎のメンテナンスが必要です。費用は十数万円程度でしょうか。しっかりと定期的な点検・メンテナンスを行えば問題になることはありませんが、みなさん、ちゃんとメンテナンスする自信はありますか

そして、住宅会社はそのメンテナンスの必要性を確実にユーザーに伝えられているでしょうか?バルコニーは後々のトラブルの原因になりやすい部位ということですね。

一昔前までは当たり前に計画されていたバルコニーですが、何の用途で使うのか、その必要性をよく考えてみましょう。実際の使い方をシミュレーションすることで、本当に必要かどうかが見えてくるはずですよ。

シューズインクローゼット

シューズインクローゼットの定義は曖昧ですが、ここではウォークスルータイプの収納について考えていきます。家族用と来客用で玄関が分かれている(玄関が2WAYになっている)ものですね。

シューズインクローゼットの利点を考えると、玄関が家族の靴でいっぱいの状態を防ぐことができること、大容量の収納空間として使えること、家族と来客者の動線を分けることができることなど様々なメリットがあります。

しかし、ひとつひとつ冷静に考えてみると、本当に必要なのか疑問に思いませんか

靴が散乱しているのが嫌ならその都度しまう習慣をつければ良いだけですし、収納力も他で代用できそうです。家族と来客の動線分離も、使用頻度で考えると贅沢な気がしますね。

要は「コスパが悪い」んですよね。”玄関は広い方が良い”と見栄を張る考え方はもう古臭いですしね。

あと、私がどうしても解せないのは、一般的に来客用の玄関のほうを広く、家族用はせまく計画されていることです。家は、住まう人にとって便利で快適な空間であるべきだと思うのです。

勝手口

用途が決まっていればとても便利な勝手口。

逆に、用途が決まっていない場合は…無用の長物となります。

基本的に、窓(外部の開口部)は少ない方が防犯性・断熱性が高まりますし、何より勝手口ドアはそんなに安いものではありません。全く使わない可能性があるものにお金は掛けたくありませんよね。

”キッチンの脇には勝手口”という当たり前なことも、一度立ち止まって本当に必要かを考えてみましょう

勝手口の用途は、例えば「生ゴミを一時的に外にストックしておく」とか「ゴミ捨て程度なら勝手口から」とか「テラス屋根を設けて物干し場として」などが挙げられると思います。それらにはそれぞれ注意点がありますし、同じような機能を有したものへ代用できる可能性もあります。

生ゴミの一時保管場所にするなら、周囲に漏れるニオイの問題や野生動物に漁られる可能性が注意点ですね。

物干し場としての利用は、本当にそこで干すかどうか事前にシミュレーションしてみましょう。最近は乾燥機能付き洗濯機も一般的になっていますし、ユニットバスに乾燥機能付き換気扇がついていればそこでも干せます。ほとんど使わない物干し場になる可能性はありませんか?

とりあえず「キッチンの脇から外に出られるから勝手口を付けておこう」と考えてしまいがちですが、使い勝手や動線計画などをしっかりと考えてみましょう。

ウォークインクローゼット

寝室に付随して設けられることが多いウォークインクローゼット。

ここ十数年で一気に市民権を得て、今では採用されることが当たり前になりましたね。

しかし、当たり前になりすぎて、良く考えもせずに“とりあえず採用”するケースも増えているのではないでしょうか?

もっと有効的な使い方があるかもしれません。

例えば、子育て真っ最中のご家庭の場合は、廊下などに「ファミリークローゼット」を設けるという選択肢があります。

寝室という「個室」にウォークインクローゼットを設置するのではなく、みんなが使える大型収納を使いやすい場所に設置する、という考え方ですね。洗濯物をたたむ・しまうといった家事をお子さんと一緒に行なったり、洗濯機置き場の近くに配置して家事動線をコンパクト化したり、住まい方によっては「ファミリークローゼット」の方が理に適った選択かもしれません。動線が簡素化されればコスト削減に繋がる可能性もあります。

「メイン寝室+ウォークインクローゼット」という“当たり前”を、今一度考え直してみましょう。

書斎コーナー

コロナ禍の影響でリモートワークが普及し、それに伴い存在感を増している書斎などの小さな個室。

個人的な意見を言うと、個室ならOKですが書斎コーナーはNGだと思っています。ここで言う書斎コーナーは、例えばリビングなどの一角にカウンターテーブルなどを設けただけのものを言います。

なぜならば、リモートワークにしても、趣味部屋としても、「囲まれた個室」でないと集中できない可能性が高いからです。また、リビングならまだしも、空調設備が整っていないような場所(例えば階段ホールの一角)にカウンターを用意しただけの書斎コーナーが設けられているケースが見受けられます。長時間滞在する場所には必ず空調が必要ですよ。

インスタの見栄えは良いでしょうが、実際に使う時のことを良く考えて採用しましょう。

ランドリー

洗濯家事に便利なランドリー。

とても便利な部屋なのですが、用途が限定されがちで、大変もったいない空間になる可能性があります。もったいないオバケが湧いちゃうレベルです。

洗濯以外の家事も兼ねたスペースとして採用されることが多いと思いますが、メインは物干しスペースとしての利用でしょう。物が干されているあいだは、他の用途としては使いづらいですよね。

また、物干し場という性格上、ある程度広いスペースが必要です。それだけ広いスペースを、物干しのためだけに用意することが本当に有効的でしょうか?コスパが悪い空間になりゃしませんか?

昨今は乾燥機能付き洗濯機も普及していますし、乾燥機能付き換気扇がユニットバスに付いていればそこでも洗濯物は干せます。もちろん、何かしらの理由で絶対にそこにランドリーが欲しいということもあるでしょうが、ランドリー空間は他のものに代替できる可能性があるということを覚えておきましょう。

今回は、考え方によってはムダになり得る部屋を紹介していきました。

実際の生活スタイルをよくシミュレーションして、ムダのない空間設計を心がけましょう

大事なことは、どんな住まい方をしたいかをしっかりと想像することです。単に「カッコ良さそう」とか、「施工例写真にホレた」などといった理由で採用することはおすすめできません。

必要なところにお金を掛け、必要ではないところにはお金を掛けない。今の時代はそんな家づくりが好ましいと私は考えます。ぜひ参考にしてみてくださいね。