住宅の外壁材完全ガイド|選び方とメリット・デメリット解説

きそ知識

住まいの印象を左右する外壁材。数ある外壁材の中から自分好みのものを選ぶのは大変ですよね。

外壁材は種類によって特徴が異なります。今回は、外壁材の種類と選び方、それぞれのメリット・デメリットを解説したいと思います。

初めにチョット一言

この手の記事には防火性能を評価指針としているものをよく見かけますが、防火性能は外壁には必ず備わっているもので、優劣をつけるものではないと私は考えていますので、今回は評価項目から外しました。防火基準に適合するために各メーカーがその技術力を集結させて商品化しているのですから、そこは素直に敬意を払いましょう。

なお、意匠性に関しても優劣をつけるものではない(美的感覚は人それぞれ違う)と考えますが、まあ細かいことは気にせずに世間の一般的な評価という観点で見ていただければと思います。

外壁材の種類

窯業系サイディング

新築住宅においてシェアNo.1の外壁材です。

セメントや繊維質などを混ぜて板状にし、”窯”で高熱処理させる製造方法から「窯業(ようぎょう)」という名前がついています。複雑な柄でも自由に作れますし、近年の塗装技術の発展で色味や風合いのリアルな再現力が魅力です。

様々な厚みの商品が作られており、厚みによって施工方法や特徴が異なりますので、今回は14mm品と16mm品に分けて紹介します。

窯業系サイディング(14mm品)

出典:ニチハ株式会社

14mm相当品は、「釘打ち」施工がほとんどです。外壁の下地となる胴縁に、直接釘で留めていく方法です。

メリット

・イニシャルコスト◎

・柄バリエーションが豊富

・手慣れた職人が多い

柄やカラーが豊富で、安価に自分のお気に入りの外装イメージを実現できるという点が一番のメリットですね。また、新築シェアNo.1の外壁ですので、手慣れた職人が多い(施工能力の差が生まれにくいとも言えます)という点もメリット。

デメリット

・ランニングコスト×

・商品本来の柄やカラーを楽しめる期間は10年ほどと短い

安価なのは新築時に限ったことです。だいたい10年毎にメンテナンス(塗装やシーリングの打ち替えなど)が必要ですので、トータルコストで見ると安価とは言えません。また、新築時は複数の色を使ったキレイな柄の商品も、メンテナンス時には基本的に単色で塗ることになるため、メンテナンス後はその柄の魅力がガクンと下がることが多いです。14mm品は凹凸も少ないので「のっぺり感」が出ちゃいます。

おすすめ度

★★☆☆☆

外壁としての最低限の性能は確保されていますが、イニシャルコストが安いこと以外は特別な魅力はありません。予算が限られている方はコレ一択という風潮ですが、トータルコストは他の外壁材よりも高くつく可能性があることを覚えておきましょう。

窯業系サイディング(16mm品)

出典:ニチハ株式会社

16mm相当品は、専用の金具に引っ掛けていく「金具留め」という施工方法が多いです。

メリット

・柄バリエーションや種類が豊富

・保証が手厚い

・手慣れた職人が多い

16mm品は、14mm品よりさらに柄バリエーションが豊富で、「板間シーリングレス」や「メーカー30年保証」などの付加価値が付いた商品も多数登場しています。また、14mm同様に手慣れた職人が全国に多数いるという点も安心感がありメリットですね。この窯業サイディング16mm品は、昨今の”住宅外壁の王道”と言えるでしょう。

デメリット

・14mm品に比べて価格が高い

・どうしてもニセモノ感がある

16mm品は14mm品に比べて様々な付加価値がついた商品が多いですが、その分価格が高いです。また、塗装や表面加工技術の進化により木目・石目がリアルに再現された商品が多いですが、どうしても本物と比べればニセモノ感があります。

おすすめ度

★★★★☆

これといった欠点の無い、バランスのいい外壁材だと思います。外装に特別なこだわりがない方には特におすすめです。

金属系サイディング

出典:ニチハ株式会社

金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板等の金属板を表面材とした外壁材です。金属板の間には補強材として断熱材が入っている製品が多いです。金属板という熱を通しやすい素材の弱点を断熱材でカバーしているのですね。

メリット

・軽い

・長尺製品がある

・凍害に強い

一番のメリットは、何といっても「軽い」ということ。作業性が良いのはもちろんのこと、耐震性の観点から見ても建物の重さは軽い方が良いのです。また、3m以上の長尺商品があることもメリットです。窯業系サイディングは長さ3mほどと決まっていることが多いので、外壁材を縦張りする場合に中間水切材が中途半端な高さになることがあるのですが、金属系サイディングならその心配もありません。

デメリット

・衝撃に弱い(へこみ傷など)

・塩害やもらいサビの心配

表面の金属板は薄いため、へこみ傷がつきやすいです。窯業系サイディングならパテ埋めやタッチアップで比較的簡単に直りますが、金属系サイディングのへこみ傷を直すのは難しいです。また、その傷から錆が発生するという可能性もゼロではありません。

おすすめ度

★★★☆☆

モダンでスタイリッシュな外観を好まれる方には特におすすめの外壁材です。金属の素材感はお庭の植栽との相性も良いんですよ~。

木質系サイディング

木質系サイディングは、本物の木材を使用した板状の外壁材です。

一般的には、下地材として不燃材を設けた上で“化粧材”として木質系サイディング使用するパターンが多いと思います。(高価ですが耐火認定を取得している製品もあります。)

メリット

・ホンモノ感

・断熱性に優れる

何といっても「ホンモノの木」という素材感が最高にカッコいいですね。木本来の魅力を存分に味わうことができます。あとは、断熱性に優れることが謳われていたりしますが、家の断熱性能を劇的に変えるものではありませんのでご注意ください。

デメリット

・価格が高い

・施工できる業者が少ない

・メンテナンスの手間

正直、デメリットを挙げればキリがありません。コストに関しては最悪で、イニシャルコストもランニングコストも掛かります。

おすすめ度

★☆☆☆☆

将来に渡りお金に余裕がある人だけ採用を検討してみてください。カッコいいからという理由だけで選ばないように。定期的なメンテナンスが必須ですので“ズボラな人”は絶対NGです。

大壁工法(乾式ボード+弾性塗装)

出典:ニチハ株式会社

大壁工法とは、無地の窯業系サイディングに塗装を施した外壁仕上げを言います。サイディングのつなぎ目を専用のパテ材で埋めることで、全くつなぎ目の無い大きな一枚の壁に見立てていく工法です。

メリット

・目地が無い

・高級感

目地を埋めてから塗装することで、サイディングの弱点であるシーリングを隠しています。つなぎ目が無いためシンプルでありながら高級感があります。

デメリット

・ひび割れの可能性

・柄バリエーションが少ない

サイディングの弱点であるコーキングを隠した変わりに、サイディングの魅力である豊富な柄バリエーションが無くなりました。(コテでパターン柄を付けることはできますが)

おすすめ度

★★★★☆

窯業系サイディングだとどうしてもニセモノ感が出てしまうし、かといって金属系は趣味じゃないし、木質系は高いし…という方にはぴったりかなと思います。シンプルでありながらチープ感はありません。私は結構好きです。

タイル

出典:株式会社アイコットリョーワ

外壁タイルは、石や粘土を高温で焼き固めた外壁材です。様々な形状や柄、サイズ、工法があります。

メリット

・耐久性が高い

・高級感

・ほぼメンテナンスフリー

タイルは耐久性が高い製品で、メンテナンスもほぼ不要な素材です。柄や大きさも豊富なラインナップから選ぶことができますし、どんなタイルを使用してもそれなりの高級感を醸し出すことができます。

デメリット

・重い

・費用が高い

「重い」というのは建物にとって良くありません。耐震性能に影響しますのでそこはデメリットですね。あとは言わずもがなですが価格は高いです。

おすすめ度

★★★☆☆

タイルは長所と短所がはっきりしている素材です。短所を補って有り余るほどの魅力を感じることができたのなら採用しない手はありません。

今回は外壁材について解説しました。

外壁材は内装材と違い、“一目惚れ”で決めてしまうことはオススメしません。将来的なメンテナンスのこともしっかりと検討して、賢くアザトク決めてくださいね。

結婚相手を決めるときと一緒です!(笑)