巾木(はばき)は、壁と床の間に取り付けられる細長い部材ですが、単なる装飾ではなく、住宅にとって重要な役割を果たしています。この記事では、巾木の役割や種類、さらには機能的な巾木について詳しく解説します。

出典:サンゲツ
巾木は「幅木」と書かれることもありますが、本記事では「巾木」に統一します。
巾木の役割

巾木には、以下のような役割があります。
壁の保護
掃除機をかけるときや家具を移動するとき、壁の下部は意外と傷つきやすいものです。巾木があることで、そうした物理的なダメージから壁を守ることができます。
仕上げの美観向上
壁と床の取り合い部分には、施工時のわずかな隙間が生じることがあります。巾木を設置することで、この隙間を隠し、見た目をスッキリと整えることができます。
掃除のしやすさ
巾木がないと、壁の下部にホコリや汚れがたまりやすくなります。巾木があることで掃除しやすくなり、清潔な室内環境を保つことができます。
壁材の保護(湿気・収縮対策)
住宅の壁や床は温度や湿度によってわずかに伸縮します。巾木を設置することで、これによる壁材のひび割れや隙間の発生を防ぐことができます。
巾木の種類
巾木にはさまざまな種類があり、住宅のデザインや用途に合わせて選ぶことができます。
木製巾木

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ナチュラルな風合いが魅力でフローリングとの相性が良く、木の温かみを感じられる巾木です。住宅建築では一番スタンダードな材料です。
ソフト巾木(塩ビ製)

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塩化ビニルで作られており、安価で耐水性が高い巾木です。汚れが付きにくく、拭き掃除がしやすい点も◎。住宅建築では水回りの部屋に使用されることが多いです。
金属製巾木

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ステンレスやアルミ製で、モダンなデザインに適しています。耐久性が高く、傷や汚れに強い巾木ですが、加工性が悪いので住宅建築に使用されることは珍しいです。
その他の機能的な巾木
近年では、単なる装飾や保護だけでなく、機能的な特徴を持つ巾木も登場しています。
モール巾木(配線を隠せる巾木)

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巾木の内部に配線を通せる構造になっており、電源コードやLANケーブルをスッキリと収納させることが可能です。生活感を抑えたスッキリした空間を目指すミニマリストな方々におすすめです。
パッキン付き巾木

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巾木の下部に柔らかいゴムや樹脂のパッキンが付いており、床の不陸(わずかな凹凸)にフィットし隙間をなくしたり、ホコリの侵入を防ぎ掃除の手間を軽減できる巾木です。気密性も良くなるかも?
不陸調整機能付き巾木

出典:DAIKEN
上下に分割された構造になっており、床の不陸に応じて微調整できる巾木です。施工後でも高さの微調整が可能なタイプもあるそうですよ。床材の伸縮が大きい無垢フローリングを採用する場合などにおすすめですね。
巾木の色の選び方
巾木の色を選ぶ際には、大きく以下の2つの方法があります。
どちらを選ぶかは、部屋のデザインや好みによりますが、統一感を持たせることで美しい仕上がりになりますよ。
床に合わせる
フローリングと同系色にすることで、一体感のあるデザインになります。床が主役となり、空間が広く見える効果も期待できます。
壁に合わせる
壁と同色にすることで、巾木が目立たずスッキリした印象になります。モダンでミニマルなインテリアに適しています。
色選びで迷った場合は、プロに相談するのが正解です。
その際は、住宅会社の営業担当者ではなく、現場の納まりを理解している設計担当者の意見を聞くと良いでしょう。巾木のような見切り材は、他の枠材との取り合いが難しい場合があります。しっかりと空間を3Dで把握できている担当者に決めてもらうのが安心です。
まとめ

巾木は目立たない部分ではありますが、壁の保護や美観向上に加え、掃除のしやすさやメンテナンス性にも関わる割と重要な建材です。住宅のデザインや用途に合わせて、適切な巾木を選ぶことで、快適な住まいづくりを目指しましょう。