「長期優良住宅」のワナ|知らないと損する5つの真実

まめ知識

「長期優良住宅」と聞くと、税制優遇や補助金といった魅力的な言葉が頭をよぎります。しかし、この制度にはメリットだけでなく、意外と知られていないデメリットも数多く潜んでいることをご存知ですか?

今回は、その実態に迫り、長期優良住宅を建てる際に注意すべきポイントを解説します。

長期優良住宅のメリット

まず、長期優良住宅のメリットを整理しましょう。

税制優遇

固定資産税の減額や住宅ローン控除の拡充、不動産取得税や登録免許税の控除額も増加するなど、金銭的な恩恵を受けられます。

地震保険料の割引

耐震等級に応じて地震保険料が割引されます。耐震等級2では30%、耐震等級3では50%の割引が適用されるため、保険料負担が軽減されます。

補助金

建築費の一部が補助されることがあり、家計に嬉しい支援策です。

高品質な住宅

長期優良住宅は高い省エネルギー性能を持ち、断熱性が高いため、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境を提供します。これにより、エネルギーコストも削減できます。

資産価値の向上

長期優良住宅はその認定によって資産価値が高く評価されるため、将来的な売却時にも有利になります。特に、長期間住み続けられる家としての信頼性が買い手にとって魅力的です。

世代を超えた居住

長期優良住宅は数世代にわたって住み続けることができる設計となっており、家族全体で快適に生活できる空間を提供します。

確かに魅力的です。しかし、この「長期優良」の称号には落とし穴もあるのです

アザとく家を建てたいのなら、絶対に知っておくべきです!

デメリット① 認定基準は高くない

一見、厳しい基準をクリアした住宅のように思える長期優良住宅。しかし、現実は違います

現在の認定基準は、ほとんどの住宅会社がわりと普通にクリアできるものです。 設計段階から適切に対応すれば、それほど特別な技術を必要としないため、言葉ほどの特別感はありません。

逆に、現在の長期優良住宅の基準すらクリアできない住宅会社はヤバいと思ってください。

デメリット② 既存不適格のリスク

住宅の省エネ性能に関する法律が改正されるたびに、認定を受けたはずの「長期優良住宅」が既存不適格住宅になる可能性があります。「長期」優良なのに、優良な期間は「短期」となってしまうかもしれません。

例えば、省エネ基準が引き上げられると、以前の基準で建てた住宅は「現代の基準に適合していない」状態になるのです。これが意味するのは、価値が低下するリスクです。

デメリット③ 維持保全はすべて施主の責任

認定を受けるためには「維持保全計画」を提出しますが、その実行責任は施主にあります

「え、住宅会社がやってくれるんじゃないの?」と思っている方がいるかも知れませんが、そうではありません。

施工業者には、住宅が長期優良住宅として認定されるための基準を満たすように設計・施工する責任はあります。また、施主に対して適切な維持管理方法や点検の重要性について説明する義務もあります。しかし、施工業者は維持保全計画そのものの実行には直接関与しないため、最終的な責任は施主にあります。

したがって、施主が適切に維持保全計画を実行しない場合、その結果として生じる問題については施主が全ての責任を負うことになるのです。

定期的なメンテナンスや修繕を怠ると、住宅性能の低下や、場合によっては認定の取り消しにつながることも。また、住宅会社に長期のフォロー体制がない場合、施主自身で全て管理しなければなりません。

デメリット④ 認定解除と税制優遇の返還リスク

長期優良住宅の「認定解除」は可能ですが、解除後に問題が発生する場合があります。例えば、税制優遇や補助金の返還を求められるケースです。初期に受けたメリットが帳消しになるどころか、予想外の負担が発生する可能性も。

デメリット⑤ 転売・譲渡の注意点

長期優良住宅の認定は、転売や譲渡の際にプラス要素となることが多い一方、メンテナンス履歴や計画の不備が問題視されることも。次の所有者に不安を与えないよう、維持保全の記録をしっかり残しておく必要があります。

また、譲渡される側が認定を取り消す場合譲渡する側が建築時に受けていた補助金や税制優遇分を返還しなければならない場合があります。このため、譲渡する側は経済的な負担を負う可能性があります。

アザトかしこい家づくりのポイント

これらのデメリットを踏まえた上で、以下を意識しましょう。

長期優良住宅の本質を理解する

認定基準が「わりと普通の基準」であることを忘れず、自分に必要な性能を見極めましょう。

住宅会社の選び方

長期優良住宅の認定を取得する技術以上に、長期アフターフォローに慣れている会社を選ぶことが重要です。維持保全を「二人三脚」で行える体制を持つ住宅会社を探しましょう。

とはいえ住宅会社が倒産してしまったら元も子もないので、「倒産しにくい母体が大きな会社」を選択するのも、この場合はわりと賢い選択だと思います。

維持管理計画の現実性を確認する

維持管理にかかる手間や費用を具体的にイメージし、計画に盛り込むことが大切です。

ちなみに、認定を受ける際には「メンテナンスに係る年間の積立費用」が認定書に明記されます。おそらく6~10万円くらいでしょうか。それじゃ全然足りないと思うのですが、なぜか認定してくれます笑。

まとめ

長期優良住宅は、適切に理解し活用すれば素晴らしい制度です。しかし、表面的なメリットだけに惑わされるのは危険。家は建てた後の維持が重要です。

冷静に制度を理解し、長期的に信頼できるパートナーと共に家づくりを進めましょう!