住宅向けの大型補助金制度である「子育てエコホーム支援事業」。
この補助金の申請ポータルサイトがヤバいってこと、ご存知ですか?
使い勝手が悪い上に次々と発覚する不具合の連続。それに振り回される申請者(住宅会社やリフォーム会社の担当者)の苦労は計り知れません。
かく言う私もその一人。
最近は感覚が麻痺してきて、怒りよりも笑いが込み上げてくる今日このごろです。「次はどんな障害が見つかるんだろう」と、ちょっと楽しみにしている自分もいます。
今回は、そんなドイヒーな子育てエコホーム支援事業のポータルサイト不具合を紹介します。
(復旧済みの不具合を含みます。また、残念ながら全ての不具合は紹介できていません。)
申請業務に苦しんでいる同志の皆様、これを見て一緒に溜飲を下げましょう。
遅延編
そもそも、申請受付開始が遅れた
同補助金は当初、2024年3月29日より補助金交付申請の受付を開始すると発表されていました。しかし、同日にシステム不具合が発生したため、4日後の4月2日に延期されました。
この頃はまだ「まあ、規模が大きい補助金だからそんなこともあるよね、事務局も準備大変だよね」と楽観視していました。
今思えば、この受付開始遅延はこれから始まる悪夢の序章に過ぎなかったのです…
ワンストップ申請も大幅に遅延
当初は4月中旬開始予定だったワンストップ申請が、1ヶ月以上も遅延しました(実際に始まったのは6月28日)。
大きなリフォーム工事の場合、他の事業と跨がって申請することが多くなるので、複数の申請を一度に行えるとともに、一番有利な補助金を選択してくれるこのワンストップ申請はとても便利な機能なのです。
早い者勝ちの補助金なのに1ヶ月半も開始が遅れるってだけでもヤバいのですが、この問題のヤバさは別にあります。
なんと、5月中旬まで遅延の案内すらなかったのです。
事務局に問い合わせても「開始が遅れております。現在準備中です。」の一点張り。ようやく5月中旬に遅延のプレスリリースがHPに載ったと思ったら、責任の全てを運営元の博報堂へ押し付けるようなリリース文でした。
国交省やば。
(言わずもがな、博報堂もやば。)
入力情報編
ここからは、申請画面についての不具合です。
必須項目が入力できない
申請画面で「必須項目」と表示されている箇所なのに、入力することができない不具合。
ご自身の申請内容と表示項目を照らし合わせていただき、入力が必要であるかご自身でご判断をお願いいたします。
要は、「必須かどうかは自分で考えろ」ってことですね。なんなんすかこれ。
申請したのに「予約は確保されていません」
交付申請を提出したのに「申請の予算は確保されていません」と表示される不具合。
誤った表記がされる場合がありますが、交付申請の提出が完了した時点で予算は確保されております。
いや不安なんよ。
入力した情報が消える
お客様の名前などを申請画面で入力したのに、次に進むと消える不具合。
表示されないだけで、登録はされておりますのでそのまま進めてください。
いや不安なんよ(2回目)
小数点が打てない
申請項目に床面積を入力する欄があるが、小数点が打てない不具合。
まず数字を全て打って、矢印キーで小数点を打ちたい場所に戻り、小数点を打ってください。
は?なんなんすかこれ。
一戸につき複数台申請可能な設備が一台しか申請できない
トイレや水栓、エアコンなどは設置台数分の申請が可能なはずなのに、申請ができない不具合。
「あれ、複数台申請できるはずだけど、私の認識が間違っていたのかな」と思って、複数台設置したにもかかわらず一台のみに抑えて申請してしまったあなた。事務局の回答を見る限り、残念ながら救済はされません。
この不具合が改善された後に(いつ改善できるか分からんけど)申請の却下依頼を実施いただき(事務局側からはアクション起こさない、自分でやれ)設置台数を編集後(台数間違えんなよ)に再度申請(何度も言う、自分でやれ)いただきますようお願い申し上げます。
これは悪質なんよ。
パソコンの画面倍率が100%以上の場合、見られないページがある
パソコンやブラウザなどの画面表示倍率が「100%」より大きい設定となっている場合、口座情報検索結果の表示が見えなくなる不具合。
倍率を100%に直してご確認ください。
「老眼の方の申請は受け付けておりません」ってことのようです笑
添付資料編
次に、申請に必要な添付資料提出についての不具合です。
提出が必要な書類なのに「添付必要書類一覧」に出てこない
申請項目入力完了後の「添付書類登録」画面にて、添付が必要な書類の添付タイプが正しく表示されない不具合。
添付が必要な書類は「申請の手引き」などと照らし合わせてご自身で判断ください。
なんなんすかこれ?
そもそも、子育てエコホームの添付資料ページは他事業の同様ページと比べて分かりづらさが半端ないんよ。ページ冒頭は添付書類の説明文が延々と…それは他の資料で確認するからここに載せないでおくれ。
他事業の添付書類ページは、必要な書類を自動でプルダウンリストに抜粋してくれるし、何よりも余計な説明文が無いので見やすいんです。子育てエコホームだけ突き抜けて酷いんよ。
提出資料が容量オーバーでもアップロード可能
添付資料の容量は5MB以下となっているが、5MBを超えていてもアップロードできてしまう不具合。
こういうのって事前に試さないの?
工事写真が20枚以上添付できない
添付が必要な工事写真が20枚以上添付できない不具合。
しかもこれ、申請が始まってから2ヶ月近く発覚しなかったんです。(20枚以上添付すると原因不明エラーで弾かれる)
40枚まで添付できるようにしました。
この手の補助金を受けるためには、工事場所・設備ごとに「工事前」と「工事後」の写真提出が必須なのはもちろんみんな理解しています。
でも今回の補助金の場合、対象設備が多い申請があることは初めから分かっていた事なんよ。
20枚って、工事場所が10ヶ所あるだけですぐ埋まる量なんよ。というか、40枚でも足りない可能性あると思うけど、大丈夫かなぁ。
奇策編
そして、最後がこれです。
サイトが壊滅的過ぎて、ポータル障害窓口が開設される
ここまでくるとギャグですね。
7月初旬に、申請事業者向けの不具合に関する問い合わせ窓口が開設されました。
窓口は要らないんよ。真っ当なポータルサイトに直してくれればそれでいいんよ。
ちなみに、ポータル障害窓口開設の案内は、申請ページにログインしないと見られません。つまり、エンドユーザーには未だに何の告知もされていないんです。
こんなに不具合が多発しているのに!
申請したくてもできない案件が沢山あるんですが、我々はお客さまにどう説明すりゃいいんだい?せめてエンドユーザー向けHPにお詫び文くらい入れてもらえんですかね?
なぜこんなにも酷いサイトが出来上がったのか
それは、(私の個人的見解ですが)今年から事務局の運営会社が変わったからでしょう。昨年までは大日本印刷が運営元でしたが、今年は博報堂がそれを担っています。
昨年のサイトは使いやすかったのです。勘弁してくれ国交省。そして、帰ってきてくれ大日本印刷。
同系統の別の補助金(「先進的窓リノベ」や「給湯省エネ」)は、昨年同様の仕様で使いやすいサイト(そして運営元は大日本印刷)なので、子育てエコホーム(というか博報堂)の悲惨さが余計に目立つ格好になっているという点も我々の怒りを助長している要因でしょう。
他と同じ仕様にしろよ博報堂。(権利とかの問題で無理なのかな。)
とはいえ、諸悪の根源は所轄官庁である国交省であることは間違いありません。
ということで、今回は子育てエコホーム支援事業ポータルサイトのドイヒー具合をレポートしました。
申請業務に携わる皆様、事務局も不具合改善に全力で取り組んでいるはずですので、必要以上にイライラせず、できるだけオトナの対応を心がけてこの受難を共に乗り切りましょう。