「高断熱の家だから冬も暖かいはず!」そう思っていたのに、実際に住んでみると「なんだか寒い…」と感じることは意外と多いものです。
家の快適性は、断熱性能の数値(U値やC値)だけで決まるわけではありません。

今回は、体感温度を左右する要素について解説し「あざとく、かしこい家づくり」に役立つポイントをお伝えします!
断熱性能の数値だけでは快適性は測れない
「U値が低ければ断熱性能が高い」「C値が良ければ暖かい家になる」と思いがちですが、それだけでは不十分です。実際の住み心地には、数値に現れない要素が多く影響します。
数値が良くても寒く感じる理由

窓の性能と配置が悪い
どれだけ壁や天井の断熱材が優秀でも、窓の断熱性能が低ければ家全体の断熱性は下がります。
気密性が低い
隙間風があると、せっかくの断熱材が活きない残念な家になります。
日射取得・遮蔽の工夫が足りない
冬に日射を取り込めなければ暖かくなりません。
床や壁の表面温度が低い
空気が暖かくても、冷たい床や壁に熱が奪われて寒く感じることがあります。
暖房器具の種類
エアコン、床暖房、パネルヒーターなど、熱の伝わり方が異なります。
体感温度を左右する5つのポイント
窓の性能と配置

家の断熱の最大の弱点は「窓」です。一般的な住宅の熱損失の約50%は窓からといわれています。
もし、あなたの家の計画がペアガラスのアルミサッシだけなら要注意!窓の断熱性が不十分かもしれません。また、北側に大きな窓があり、南側に小さい窓しかないなら、冬の日射取得が足りていない可能性が大です。以下の点を押さえると、断熱性能を数値以上に活かせます。
窓の性能を上げる
ペアガラスよりトリプルガラス、アルミサッシより樹脂サッシが◎です。
配置を工夫する
北側の大きな窓は寒さの原因に。南側は日射取得を意識しましょう。
カーテンやハニカムスクリーンで補助
窓の冷気を抑え、体感温度アップ。ちなみに、ぷちぷちを窓ガラスに貼るだけでも断熱効果がありますよ(かっこ良くは無いですが)。
気密性(C値)が重要

C値が低い(=気密性が高い)ほど、隙間風が少なく暖かい家になります。目安として、C値 0.5以下 を目指したいところ。
気密測定をやっていない住宅会社もあると思いますが、できれば無理にでもお願いしたいところです。「気密測定をする」という行為自体が施工の手を丁寧にする可能性があります。講習などで、最後に修了考査が有る場合と無い場合だと、圧倒的に有る場合のほうが集中して講習に取り組みますよね。それと一緒です。
気密測定を実施する
施工の精度が試されるので、確認必須!対応していない住宅会社の場合でも「気密測定をしたい」という意思表示だけは必ずしましょう。
換気計画を適切に
気密性の高い家は換気計画がとっても重要。隙間風ではなく、計画的に空気を入れ替えるのが理想です。しっかりと設計してもらいましょう。
日射取得と日射遮蔽のバランス

冬に暖かい家にするには、日射取得が鍵となります。
窓ガラスの性能が良くなっていますので、従来の古き良き住宅のように「南面の窓辺は日差しでぽかぽか~」というレベルの日射取得は難しくなっていますが、とはいえ重要なポイントです。
南面に大きな窓を設置
太陽の熱を室内に取り込みましょう。
軒や庇を適切に設計
夏の強すぎる日射はカットし、冬は取り込むよう計画します。先人の知恵ですね~。ちなみに私は「軒ゼロ」反対派です。
熱を蓄える素材を使う
無垢フローリングやタイル、コンクリートは蓄熱効果があります。
放射冷却を防ぐ工夫と暖房器具の違い

冬の室内で「暖房をつけているのに寒い」と感じることはありませんか?これは、床や壁の表面温度が低いせいかもしれません。エアコンをつけても足元が冷えていてスリッパが必須な家は嫌ですよね。
床暖房や輻射暖房を検討する
エアコンだけでなく、床暖房やパネルヒーターなど面で暖める暖房を取り入れてみましょう。
カーペットやラグを敷く
床の冷たさを和らげる簡単な方法です。
心理的な暖かさを得る工夫

家の温度だけでなく、「心の温度」を上げることも快適な暮らしには大切です。心理的な暖かさも考慮しましょう。部屋の色がすべて白や寒色系なら、視覚的に冷たく感じる可能性がありますよ。
ペットとのふれあい
ネコや犬を飼うと、体温の温かさだけでなく、癒やし効果も抜群です。ココロも満タンに!
暖色の照明を取り入れる
色温度の低い光(電球色)は、暖かみを感じられます。
アロマや温かい飲み物を活用する
視覚や嗅覚でも暖かさを演出しましょう。プラシーボ効果でも良いんです。
まとめ

数値だけで判断せず、実際の暮らしをイメージして断熱対策を考えるのが「あざとく、かしこい家づくり」のコツです。
この記事の内容を意識すると、同じ「断熱性能の家」でも、体感温度がグッと変わります。寒さに悩まされない、快適な住まいを手に入れましょう!