【やさしく解説】合板の種類

きそ知識

建築の世界で仕事をしていると、合板は切っても切れないほど身近な存在です。 最近ではDIYブームもあり、ホームセンターで合板を手に取ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。

ただ、この合板。種類がとにかく多いんです。 似たような見た目なのに用途や特徴が異なり、正確に把握するのは意外と大変。

そこで今回は、「合板とは何か?」という基本から、種類ごとの特徴、さらにはよく似た素材である「木質ボード」についてまで、やさしく丁寧に解説していきます。

合板とは

合板とは、薄くスライスした木の板(ベニヤ板)を複数枚、繊維方向を直交させながら接着剤で貼り合わせた板材のことです。

木は繊維方向によって強度が異なりますが、ベニヤ板を交互に直角方向に重ねることで、縦・横どちらの方向にも強い強度を持たせることができます。

つまり、「クセの強い木の性質を、うまく中和させて均質な材料にしたもの」と言えるでしょう。

合板の種類

普通合板(ベニヤ合板)

ベニヤ板を何層か貼り合わせた、最も基本的な合板です。 一般的に「ベニヤ板」と呼ばれているものもこれを指すことがありますが、正確には「ベニヤ板=単層」「合板=多層」と分けて呼ぶのが正しいです。 「ラワン合板」や「シナ合板」など、原木の名前で呼ばれることもあります。

コンパネ

正式には「コンクリート型枠用合板」と呼ばれます。 コンクリートを流し込むための型枠として使われる合板で、耐水性に優れています。 表面はガサガサとした荒い仕上げのものが多いですが、ウレタン塗装が施されてつるっとした仕上げのものもあります。

構造用合板

住宅の耐震性などに関わる「構造耐力上主要な部分」に使われる、強度の高い合板です。 JAS(日本農林規格)によって、強度やホルムアルデヒド放散量、接着剤の性能などが厳しく規定されています。

原木による分類

ラワン合板

フィリピンなどに自生する広葉樹「ラワン」を使用した合板。 「ホワイトラワン」「レッドラワン」など色の違いで分類されることもあります。 加工しやすく、やや重め。家具の裏板や建材の下地など、屋内の見えない部分によく使われますが、最近では“あえて見せる”使い方も増えています。

ラーチ合板(針葉樹合板)

国産のカラマツやスギ、外国産の米マツやスプルースなどを使用。 ラワン合板よりもざらざらした質感で、節が目立つものも多いため、主に下地材として使われます。 比較的安価で、加工もしやすいのが特徴です。

シナ合板

北海道や本州、四国に多く自生する落葉広葉樹「シナノキ」を使用。 軽くて曲げに強く、加工しやすいため、仕上げ材としても使われます。 ちなみに、アイスのヘラにも使われている木です。

その他の合板

他にも合板と呼ばれる材料が多数存在します。

中でもよく使われるものを数点ご紹介します。

ランバーコア合板

ブロック状に接ぎ合わせた木材を芯材として、その両面を合板で挟んだもの。 反りにくく、加工性も悪くありませんが、内部に空洞があったり、実(さね)加工には不向きな面もあります。

プリント合板

合板やパーティクルボードの表面に、木目やカラー柄の化粧シート(ウレタンコート紙や強化紙)を貼ったもの。 そのまま仕上げ材として使用されるため、内装に使われることが多いです。

木質ボードとは

合板と並んでよく使われる建材に「木質ボード」があります。
木質ボードは、木材をチップ状にして加熱・圧縮して成形した板材で、いわば“木の粉を固めた板”のようなもの。カラーボックスや安価な家具に使われている板材を思い浮かべると分かりやすいでしょう。

木質ボードのメリット・デメリット

木質ボードにはいろいろなメリットがあります。

メリット:

  • 廃材を有効活用できるためエコロジー
  • 均質な材質で、反り・割れ・狂いが少ない
  • 遮音性・断熱性が高い
  • 価格が安い

デメリット:

  • 湿気や水に弱い
  • 強度がやや低め
  • ネジや釘が効きにくい

用途や環境を考慮して使い分けることが大切です。

木質ボードの種類

木質ボードは、加工工程や密度によって種類分けされています。

繊維から作る

原料のチップを繊維状に加工して作られるのが「ハードボード」、「MDF」、「インシュレーションボード」です。

ハードボード(硬質繊維板)

密度:0.80g/cm³以上

表面が平滑で硬く、曲げ強度が高い

主な用途:梱包材、車の内装材、床養生板など

厚さ5mm以下の薄物が主流

MDF(中質繊維板)

密度:0.35g/cm³以上

表面・木口が緻密で加工性が高い

ルーター加工や塗装に適している

主な用途:キッチン扉、スピーカーキャビネット、住宅造作材など

高密度タイプは構造用にも使われます

インシュレーションボード(軟質繊維板)

密度:0.35g/cm³未満

軽量で断熱性・吸音性・吸湿性に優れる

主な用途:家具の芯材、畳床、断熱材、内装下地など

加工しやすく、寸法安定性が高い

小片から作る

原料のチップを小片に加工して作られるのが「パーティクルボード」です。ちなみに、みんな大好きOSBもパーティクルボードの仲間です。

パーティクルボード

木材の小片を接着して成形

表面は細かく、芯材は粗い構造

大量生産の家具に多用され、化粧材と組み合わせて使用

住宅では床・壁・屋根の下地材にも使用されます

OSB(配向性ストランドボード)

Oriented Strand Boardの略

木片が大きく、方向を揃えて配置されているのが特徴

無骨な見た目が“おしゃれ”とされ、あえて仕上げ材として使われることも

主な用途:構造用下地、家具、什器、内装の壁や床など

最後に

合板や木質ボードは一見似ているようで、それぞれ異なる特性を持っています。
材料の選び方一つで、仕上がりの質や施工性が大きく変わることも。
それぞれの特徴を知って、“アザトク”使い分けていきましょう!

筆者:ともぴ(一級建築士/インテリアコーディネーター)

「家づくりは、賢く・楽しく・ちょっとあざとく」をモットーに、失敗しない家づくりのヒントをブログで発信中。

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