おうちの“顔”になる外壁材。
その見た目ひとつで、家の印象ってガラッと変わりますよね。
でも実際に選ぶとなると、種類がたくさんあって、どれが良いのか分からない…!
デザインも性能も気になるし、値段も大事…。う〜ん、悩ましい!
というわけで今回は、
代表的な外壁材の種類と特徴、メリット・デメリット、選ぶときのヒントを、
建築のプロの目線で、でもわかりやすく、ゆるっとご紹介します♪

外壁材の記事って、「防火性能」で優劣つけてることが多いんですが…
正直それ、あまり意味ないと思ってます。
というのも、今の日本の住宅用外壁材は、基本的に全部ちゃんと防火基準をクリアしてるんです。
つまり「これは防火性能が高いからオススメ!」とかっていうのは、ちょっと違うかなって。
むしろ、各メーカーが一生懸命その基準を満たすために技術を注いでるわけなので、そこは純粋に「すごいな〜」とリスペクトしたいところ◎
あと、デザインの良し悪しも、人それぞれ好みが違うので一概には言えません。
ただ今回は、「世間でこう評価されがち」という感じのライトな視点で紹介していきますね。
外壁材の種類
窯業系サイディング
まずご紹介するのは、新築住宅でダントツ人気No.1の外壁材、
その名も「窯業(ようぎょう)系サイディング」!
名前の由来はちょっと理科っぽくて、「窯(かま)」で高温処理する製造方法から来ています。
セメントに繊維質などを混ぜて板状にし、焼いて仕上げる…という、見た目以上にしっかり者な外壁材なんです。
そしてこの子、とにかくデザインの自由度が高い!
タイル風、木目風、塗り壁風…もう、ほとんど何でもアリ。
最近は塗装技術も進化していて、リアルすぎる質感にびっくりすることも。
さらに、厚みによって仕様や施工方法が違うという特徴もあるので、今回はよく使われる「14mmタイプ」と「16mmタイプ」に分けて、わかりやすく解説していきますね♪
窯業系サイディング(14mm品)

出典:ニチハ株式会社
窯業系サイディングの中でも一番ベーシックなのが、この「14mm相当品」。
施工方法は「釘打ち」が主流で、外壁の下地となる“胴縁(どうぶち)”に直接バシバシ打ちつけていきます。←ちょっと乱暴に聞こえるかもですが、これはこれでちゃんとした工法なんです◎

✅ メリット
- お財布にやさしい♪(イニシャルコスト◎)
- 柄や色のバリエーションがとにかく豊富!
- 職人さんが慣れてる率高め=施工トラブルが起きにくい
なんといっても、「低コストで理想の外観に近づける」のが一番の魅力。
バリエ豊富な柄とカラーで、わくわくしながら選べちゃいます♡
さらに、新築シェアNo.1なので、どの職人さんも慣れている=施工ムラが少ないのも安心ポイント!
❌ デメリット
- メンテナンスはこまめに…(ランニングコスト×)
- 購入時の“あの素敵な柄”が長続きしないかも…
実は、新築時にいくら素敵でも、10年後には塗り直しがほぼ確実…。
そのときには、複雑な多色デザインは単色塗装になることが多くて、せっかくの柄が「うっ…地味…」になるケースも(涙)
しかも、14mm品は表面の凹凸が少ないため、塗り直し後はのっぺり感が目立ちがちです。
なので、「長くそのデザインを楽しみたい!」という人にはちょっと不向きかも。
★★☆☆☆
とにかくコスパ優先!という方には“はじめの一歩”としておすすめできますが、実はトータルコストで見ると高くつく可能性があるので要注意です。
「安いからこれでいいや」と決める前に、10年後の姿もイメージして選ぶのが正解◎
窯業系サイディング(16mm品)

出典:ニチハ株式会社
窯業系サイディングの“スタンダード上位版”といえば、この16mm品。
施工方法は、釘ではなく専用金具でカチッと留める「金具留め」が主流です。これにより施工精度が上がり、仕上がりの美しさもUP!

✅ メリット
- 柄・質感のバリエーションがとにかく豊富♡
- 「板間シーリングレス」や「30年保証」などの高付加価値アイテムも!
- 全国的に施工に慣れた職人が多い=安心感◎
近年は、“シーリングが目立たない”板間シーリングレス仕様のものや、
超ロング保証(30年など!)が付いた商品も続々登場していて、選ぶ楽しみもパワーアップ!
施工実績も豊富なので、信頼できる職人さんに出会える確率も高めです◎
いまや“住宅外壁の王道”といっても過言ではない存在です。
❌ デメリット
- お値段は14mm品よりちょっと高め…(イニシャルコスト△)
- 本物志向さんにはちょっぴり物足りないかも?
表面の加工技術はどんどん進化していますが、やっぱり「木は木」「石は石」には敵わない部分も。
パッと見は本物っぽく見えても、触ったり近くで見ると「なんか違う?」と感じる方もいるかもしれません。
特に素材そのものに強いこだわりがある方は、一度サンプルを見てから判断するのがおすすめです◎
★★★★☆
迷ったらこれにしておけば間違いない!
そんなポジションにいる、バランス優等生タイプの外壁材。初期費用はやや高めでも、メンテナンス性・保証・仕上がりの完成度の高さを考えると、コスパはむしろ良いと感じる方も多いはず。
外観に強いこだわりがなければ、これ一択でもアリです◎
金属系サイディング

出典:ニチハ株式会社
金属の質感がシャープでかっこいい!
そんな見た目だけじゃない、実は超実力派なのがこの金属系サイディングです。
表面材にはガルバリウム鋼板などの薄い金属板を使い、その内側に断熱材を挟み込んだ構造が主流。
熱を通しやすい金属の弱点を、うまく克服したハイブリッドな外壁材なんです。

✅ メリット
- とにかく軽い=地震に強い!💡
- 長尺(3m以上)対応でスッキリ施工
- 凍害にも強く、寒冷地にも安心
最大の魅力は「軽さ」!
施工性の良さはもちろん、家自体の重量が軽くなるので耐震性にも◎
また、長〜いパネルがあることで、外壁を縦張りする際も継ぎ目や中間水切りの位置がスッキリと決まります。
さらに凍害に強いという特性もあり、寒冷地での採用率も高め。
❌ デメリット
- 衝撃に弱い(へこみやすい…)
- 塩害・もらいサビのリスクあり
金属は薄くて硬いようでいて、実はへこみに弱いのがネック。
ボールが当たったり、自転車がぶつかったりすると、意外と目立つ傷に…。しかも、へこみの補修はちょっと難易度高めです。
また、沿岸部では塩害の心配もあるため、立地によっては慎重に検討を。
★★★☆☆
スッキリとしたラインの外観や、スタイリッシュな金属感が好きな方にはピッタリ!
無機質な雰囲気にグリーンを合わせると一気におしゃれ度UP(金属と緑は相性がいいんですよ~)。
ただし、へこみやサビのリスクもあるため、見た目・性能・環境条件のバランスで判断を。
木質系サイディング

見た目は最高。でも、現実はなかなか厳しい…。
そんな“推し”感たっぷりの木質系サイディング。名前の通りホンモノの木を使った外壁材で、圧倒的な素材感・質感が魅力です。
実際の施工では、不燃材を下地にして「化粧材」として張るケースが一般的。
※中には耐火認定を取得した超高級品もありますが、お値段もバッチリ高級。

✅ メリット
- まさに“本物”の素材感
- 独特の風合いと経年変化が楽しめる
- 断熱性が高い(と言われがち)
本物の木だけが持つ存在感と雰囲気、これは唯一無二。
「この外観のためなら他は妥協する!」という人もいるほどです。
あと、よく断熱性の高さがアピールされますが…、正直そこはあまり過信しない方が◎。断熱材は別でしっかり入れましょう。
❌ デメリット
- 初期費用が高い
- 施工できる職人さんが少ない
- メンテナンスがめちゃくちゃ大変
とにかくコストがエグい。
初期費用はもちろん、塗装や防腐処理などのメンテナンスにもお金がかかります。
そして何より、扱える職人さんが限られているので、「やりたい!」と思っても簡単にはできないのが現実です。
★☆☆☆☆
ロマン枠。でも財布と相談してください。
「どうしても木の外壁にしたい!」「メンテナンスも楽しみたい!」そんな覚悟のある人には最高の素材。
でも、なんとなくカッコいいから…では選ばないでください。“ズボラさんお断り”な外壁材です。
大壁工法(乾式ボード+弾性塗装)

出典:ニチハ株式会社
「えっ、これサイディングなの!?」と思わせる、
まるで塗り壁のような質感を実現できるのがこの大壁工法。
下地に無地の窯業系サイディングを張り、つなぎ目(目地)を専用のパテ材で丁寧に埋めてから塗装を施す工法です。
これにより、目地がまったく見えない“1枚の大きな壁”のような外観に仕上がります。

✅ メリット
- 目地がない!スッキリ上品
- シーリングの弱点を隠せる
- シンプルなのに高級感あり
通常のサイディングだとどうしても目地(コーキング)が目立ちがち。でも大壁工法ならそのシーリングを完全に隠せます。
その結果、“塗り壁風”の上質な外観に変身。
窯業サイディングっぽさを消したい人にはかなりおすすめです。
❌ デメリット
- ひび割れリスクあり
- 柄のバリエーションが少ない
目地を埋める=柔軟性を失うことでもあるので、ひび割れの可能性はゼロではありません。
また、サイディングの魅力であるリアルな木目・石目などの柄がなくなるため、デザインの自由度は少し下がります。
(※塗装時にコテでパターンをつける技もありますが、やっぱり選択肢は限られます。)
★★★★☆
「無地の外壁が好き」「でも塗り壁はちょっと不安…」
そんな方にはピッタリの選択肢!
チープ感もなく、落ち着いた雰囲気が出せるので、和モダンやシンプルナチュラル系とも好相性です。
個人的には結構好きな仕上がりです◎
窯業系の弱点と魅力、両方をうまくトレードオフしてる感じが良い。
タイル

「外壁は一度決めたら、なるべく触りたくない」
そんな方には、最強クラスの耐久性を誇る外壁タイルという選択肢があります。
石や粘土を高温で焼き固めたタイルは、そもそもめちゃくちゃ硬くて丈夫。
サイズや模様、貼り方の種類も豊富で、組み合わせ次第でオリジナリティと高級感の両立も可能です。

✅ メリット
- 耐久性バツグン!(経年劣化に超強い)
- どんな柄でも「高級感」がある
- 基本メンテナンスフリー
外壁材の中でも、圧倒的にメンテナンス手間が少ないのがタイルの強み。汚れもつきにくく、表面が剥げることもありません。
見た目も重厚感があり、「高級住宅っぽさ」が自然に出るのも嬉しいポイント。
❌ デメリット
- 重い(=耐震性能に注意)
- イニシャルコストが高い
良いことばかりのように見えるタイルですが、やはり重量がネック。
建物にかかる負担が増えるので、構造の設計段階でしっかり考慮が必要です。
また、施工費も材料費もとにかく高い!外装費用としてはトップクラスの金額になります。
★★★☆☆
タイルは長所も大きいけど、短所もはっきりしている素材です。
予算的にクリアできて、構造的にも問題がなければ選ばない理由はありません。
一度施工してしまえばほとんど手間がかからないので、「とにかく外壁メンテは最小限にしたい!」という人にはぴったりです。

今回は、家づくりにおいてめちゃくちゃ重要なのに、意外と悩まれる外壁材についてご紹介しました。
外壁材って、インテリアと違って“一目惚れ”だけで決めるのはちょっと危険。
見た目だけで選ぶと、後から「メンテナンスが地獄…」なんてことにもなりかねません。
だからこそ、見た目・コスト・メンテナンス性の三拍子バランスよくチェックして、“アザトク”に選んでいきましょう。
だって外壁材って…結婚相手みたいなものですから!(笑)
「好き♡」だけじゃ、続かないのが現実ですよね。現実的な目線、大事です(笑)
筆者:ともぴ(一級建築士/インテリアコーディネーター)
「家づくりは、賢く・楽しく・ちょっとあざとく」をモットーに、失敗しない家づくりのヒントをブログで発信中。