住宅会社から提案される窓の配置や種類、それに関するアドバイスは、後悔しない家づくりに欠かせない要素です。しかし、窓に関する重要なポイントや正しい知識は、なかなか教えてもらえないことが多いと感じます。
この記事では「窓編」として、後悔しない家づくりのコツを紹介したいと思います。
浴室に窓って必要?
お風呂に窓、欲しいですか?
換気のため?でも、お風呂には換気扇が付いていますよね。しかもその多くが24時間常時動いてくれる優秀な換気扇だったりします。採光のため?でも、お風呂に入るのは夜ですよね。昼間も入る?電気をつければ良いですよね。
このように、お風呂の窓ってほとんどメリットの無いものだと思います。
しかもデメリットは多いです。窓を設けるだけでその分の費用が掛かっているし、窓は断熱性が悪い部位なので熱が逃げるし、覗かれるのが嫌だからそもそも開けないし、すりガラスだから外の景色も見えないし、掃除するのは面倒だし、掃除をサボるとカビたりするし。
思考停止した設計者が、何も考えずに慣例的に付けているものナンバーワンが「お風呂の窓」じゃないでしょうか。
「お風呂の窓から良い景色が見える」という場合だけは例外ですね。そんな素晴らしいロケーションなら絶対に取り入れるべきです。
お風呂の窓は、外の景色を楽しみたい人以外は要らないんじゃないかなーと個人的に思っています。
ジャロジー窓、提案されてない?
出典:LIXIL
一昔前は当たり前に使われていたジャロジー窓。ハンドルを回すとぱたぱたとガラスが開いたり閉じたりする窓です。このジャロジー窓ですが、気密性、断熱性、防犯性、どれをとっても悪いため採用はおすすめしません。
まあ、今どきジャロジー窓を提案してくる住宅会社も少ないと思いますが、もしも提案に入っていたら「なんでジャロジー窓なの?」と質問してみましょう。たぶんですが「いつもこの部屋にはジャロジー窓を付けてるし、今回も何となく付けてみた」くらいのノリだと思います。たまにいるんですよねー30年くらいアップデートできていない設計者が。
お隣の家の窓、確認した?
「お隣の家の窓と自分の家の窓が同じ位置になってしまった。」という失敗談はよく耳にします。
これ、わりと見落としがちなワナですが、致命傷になりかねない超重要事項です。離隔がある程度あればそこまで気にならないかもしれませんが、家同士が近い場合はかなり気になるでしょう。せっかく窓を設けたのに、カーテン閉めっぱなし状態になること間違いなしです。
隣家との窓の位置関係は事前に必ず確認してくださいね。
寝室に大きな窓がある
大きな窓って、開放感が演出されてとても気持ちが良いですよね。
しかし、その部屋で過ごす「時間帯」をしっかりと考えてから採用しましょう。
特に留意が必要なのは寝室です。寝室は、夜~朝に使用する部屋になることが一般的ですよね。昼間は使わないのだから、光を多く採り入れることができる南面の窓は、採用する優先度は低くても良いでしょう。朝日を浴びたいのであれば、南ではなく東側に窓を設けたほうが効果的です。
窓を小さくしたり減らしたりできれば、新築コスト削減や家の断熱性向上にも繋がりますよ。
なお、寝室などの「居室」は、一定量の光を採り入れなければならないと法律で決められており(採光計算っていうのがあるんですよー)、窓を小さくしたくても出来ない可能性がありますので、その点はご留意くださいね。
勝手口って使う?
住宅会社からの提案図面に、キッチン脇に勝手口ドアが設けられていませんか?
勝手口は玄関とは別の外部との連絡口となりますので、あれば便利かな~と思いますよね。でも実際に使うか事前によく考えたほうがいいですよ。使い勝手や動線計画などを何も考慮せずに、とりあえず「キッチンの脇から外に出られるから勝手口付けておこう」と考える“思考が停止した設計者”が、ただ何となく提案しているだけの可能性もあるんです。
本当に必要かどうかは「生活スタイルと立地による」というほかありませんが、すべての人に必ず必要なものではないということを覚えておいてほしいです。
開かない窓でも事足りる
窓には様々な役割がありますが、光を採り入れたいだけなら「FIX窓(はめ殺し窓)」という開かない窓が便利です。
FIX窓の良いところは、気密性が高い(開かないので当たり前ですが)こと、網戸がないためスッキリと見せられること、価格が安いことなどが挙げられます。
外の空気を採り入れたい場所や、換気をしたい場所には不向きですが、そんな部屋ばかりじゃありませんよね。開けられる窓とFIX窓を適材適所で上手に使い分けられると良いですね。
窓の設計や選択は、家の快適性やエネルギー効率に大きく影響します。
窓の位置や種類、隣家との関係などを考慮して、理想の家づくりを実現しましょう。