実質賃金の低下、資材費の高騰、固定金利の上昇、スタグフレーション…
様々な要因が重なって、他業界の例に漏れず住宅業界も冷え込みの季節を迎えています。暖かな春はやってくるのでしょうか。もう来ないのかもしれません。
住宅産業研究所発行[TACT]にも「新築(持ち家)部門は本格的な縮小期に突入した」というような記載がありました。「家を建てる」という行為は、数年前から比べてかなりハードルが高くなったと感じます。
こんな状況で、いかにアザト賢く家を建てるか。
それをお手伝いするのが我々プロの仕事です。
それでは本題に入っていきましょう。
こんな時代に新築費用を抑えるためには?
建築費用がここまで上昇してしまうと、まず考えるのは「建物の規模を小さくする」ことだと思います。住宅会社により値上がり幅は様々ですが、坪10万円とか坪20万円とかのレベルで価格が上がっているはずです。「坪単価が上がったなら坪数を抑えればいい」という至極真っ当な考え方ですね。
そこで今回は、坪数を大幅に削減できるかもしれない「3帖の部屋」について解説したいと思います。
3帖の部屋ってどうよ?
最近少しずつ耳にするようになった「3帖の部屋」。
6帖で考えていた部屋を3帖までスケールダウンできれば、それだけで1.5坪の削減になります。これは大きいですよ。
ただ、少し前までは一般には受け入れられない考えだったと思います。一部のミニマリスト的な思考の方があえて取り入れるということはあったでしょうけど。
個人的な考えを言うと、3帖の部屋、良いと思います。
思うんですが、いくつか注意点がありますので、いくつか解説していきます。
注意点1:やっぱりせまい!
当然ですが、やっぱり狭いです。
「あんがい広いじゃーん」とは、まず間違いなくなりません。ベッドと机を置いたら他のものは置けない、そんなサイズ感です。狭さをしっかりと理解した上で採用しましょう。
注意点2:エアコンつけるの?
空調はすごしやすさに直結しますから大事な検討事項です。寝たり、読み書きをしたり、長時間この部屋を使用するのなら空調設備は必須です。
でも、3帖の部屋にエアコンはもったいない気がしますか?そう考えたあなたには3帖の部屋は向いていないかもしれません。3帖と言えども居室は居室です。ほかの部屋と同じように生活環境を整える必要があります。
注意点3:有効寸法をちゃんと確認しよう
部屋の内法寸法を必ず事前に確認し、家具の配置計画を行いましょう。このベッドを置きたかったのに入らなかった、とならないように。ドアの開き方向なども大事なチェック項目です。できれば引き戸にしたいですね。
注意点4:将来的にどう使う?
3帖の部屋を検討している方の多くは、子供用の個室としての使用を前提としているのではないでしょうか。子供が巣立った後どう使うかを事前に検討しておきましょう。
でもまあ3帖のスペースって案外いろんなことに使えますから安心してください。書斎や趣味室にしてもいいし、納戸でも良いですしね。
3帖の部屋をかしこく取り入れるコツ
続いて、3帖の部屋をかしこく取り入れるコツを解説します。
開放感を出そう
窮屈感をできる限り取り除くために、室内窓などをうまく活用し開放感を演出しましょう。プライバシーが気になるようでしたらカーテンをすればOKです。
出典:パナソニック
壁面や天井面を活用しよう
収納家具を置くスペースはありませんので、壁面カウンターや有孔ボード、ワイヤーネット収納、ニッチ収納を活用しましょう。照明の配置にもよりますが、天井から吊るすタイプの収納も良いかもしれませんね。
出典:パナソニック
折りたたみ式の家具を活用しよう
限られたスペースを有効利用するために、折りたたみ可能な家具を採用するのも良いですね。
今回は「3帖の部屋」について解説しました。
私が現実的なプランを提案するとしたら、6帖程度の洋室を、高さのある腰壁などで半分にゆる~く割って、その2室をまとめて冷暖房する、とかが良いのかなと思っています。でもそれだと厳密には個室ではないので嫌な人は嫌ですよね~。
3帖の部屋を検討している方は、小さい部屋のメリット・デメリットをしっかりと把握した上で採用してくださいね。部屋は小さくすることは簡単ですが、あとから大きくすることは難しいですから。